明日何しようかな?#10

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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景子


「タッチ!」

タッチが振り返る。

上杉史也。私たちの担任の先生。理科を教えてくれている。

あだ名はタッチ。あの有名漫画の主人公と名字が一緒だから。心菜が名付け親だ。名字が一緒というだけで、別に双子でもないし、野球も好きではない。

結局「タッチ」が完全に定着してしまい、今ではお父さんお母さんからも「タッチ」と呼ばれている。

優しい先生で生徒からも好かれている。三人ともタッチのことは好きだ。他の学年の生徒からも好かれている。学生の数が少ないこともあり、タッチと過ごす時間もかなり多かった。

タッチと初めて会ったのは小学校のとき。百白村は小学校と中学校が隣同士にある。小学生のときから中学の先生とも交流はあったし、小学校を卒業しても小学校の先生と交流することも多かった。

百白村には公園がない。遊ぶとなると、解放されている小学校の校庭になる。そこでドッジボールやサッカーをしていると少し手が空いた先生が乱入してくるなんてことがよくあった。もう少し都会に住んでいる親戚にこの話しをすると驚かれる。普通、学校の先生はそんなことはしないらしい。

私たちが小学生のときからタッチとは仲が良かった。校庭で一緒に遊んだこともよくある。私たちが小学校に入学したのと同時にタッチは百白中学校に新卒で赴任してきた。あのときは気づかなかったけど、入学式の日に胸にお花をつけてくれたり、写真を撮ってくれたりしたのはタッチだったらしい。

「新人だからずっと雑用させられてたんだよね」

って、中学校で私たちの担任なってからあの日のことを話してくれたっけ。普通は高学年のお兄さんやお姉さんがやることらしい。だけど生徒が少ない百白中学校はそういった雑用を先生がやらされることにタッチは戸惑ったらしい。タッチは出身はこの村ではない。だけど、もう何年も百白村中学校で働いているので、みんな村の住人の一人って思っているような気がする。そのくらい親しみやすい先生だった。

タッチは私たちに気がつく。

「佐々木と……福山か」

タッチは私たちのことを必ず名字で呼ぶ。私のことは「佐々木」。光輔のことは「福山」。心菜は「泉」。

タッチはどこかおどおどしている。何か私たちに見つかったらまずいことでもあるのだろうか。

「どうしたのタッチ?」

「いや、なんでもないよ」

なんでもないようには見えなかった。

「君たちこそ何してるの?」

私たちが何か言うのを遮るように、タッチは聞いてくる。

「山に登って夕日見てた」

光輔が答える。

「そっか、気をつけて帰りなよ」

「タッチはどっか行くの?」

今度は私が聞く。

「卒業式の準備がまだちょっと残ってるから学校に行かなくちゃなんだ」

「ふーん」

「じゃあ」

タッチは手を振ってその場を離れた。

 

 

つづく

 

 

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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月

中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……

 


【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性
百白中学校三年生

・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性
百白中学校三年生

・泉心菜(いずみ・ここな)

女性
百白中学校三年生

・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性
百白中学校の先生。通称「タッチ」

 


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