氏名:船田智子(ふなだ・ともこ)
年代:五十代
性別:女性
同居人:あり
職業:飲食店経営
日時:二〇二〇年六月二日
旦那が亡くなってから一か月が経った。
感染者数はピークを超えて、少しずつ収束の兆しを見せている。緊急事態宣言も解けて、自粛は少し緩和された。息子の高校も再開した。
それでもまだまだ気を抜くことは出来ない。マスク着用は常識になり、宴会は控えろと偉い人たちが言っている。芸能人が感染したら叩かれるのも相変わらずだ。
私はこの一か月何もしていない。
これから先どうすればいいのか。それを考える気力が湧かなかった。
旦那は入院していた病棟から投身自殺をした。遺書には「感染を拡大させたこと」への自責の言葉が綴られていた。
では、あのときお店を休業することが正しかったのだろうか。現状を見ていると、そうは思えない点がたくさん出てくる。
例えば「緊急事態宣言」。最初に発令されたときは四月七日から五月六日までだった。その通りであれば、店を一か月休業すればよかったのかもしれない。
しかし実際は五月二十五日まで延長された。しかも延長することは五月四日に発表。世間の空気から延長されることは大いに予想できたが、解除まであと二日になるまで延長が発表されなかった。これでは休業したところで、苦しい現実が待ち受けていたのは想像できる。
今、苦しいのは日本人全員、いや、世界の人全員なのかもしれない。だけど、その中で私たちのような個人経営の飲食店はかなり下に見られている気がした。
悪いのはコロナウイルス。ウイルスのせいで全員が苦しめられている。この苦境を乗り越えるためには、絶対に「犠牲」が必要だ。こんなことを口に出すと怒られるのかもしれないが、多少の犠牲はもう仕方のないことだと思う。
その「犠牲」は誰か。最初に犠牲にされたのが私たちだった。そう思うしかなかった。
お医者さんも苦しい日々を送っている。それは世間的にも知られていて、テレビでも「医療従事者に感謝を」とタレントが言っている。この苦難の最前線で戦っている人たちを労ったり、励ましたりするのは当然のことだろう。
国会議員や知事も毎日対応に迫られている。やり方の良し悪しは抜きにして、毎日会見を開き、自分の言葉で感染防止をうたっている。批難の声も多いけれど、それだけ注目されていると言える。
アスリートは活躍の場を失った。これには同情の声が多く上がっている。
学生たちは学びの場が奪われた。九月始まりにしよう、なんて声がちらほらとあがっている。
「この人たちはこうしてあげたらいいのに」
「なんでこうしないんだ」
「彼らがかわいそうじゃないか」
職業に貴賤は無い。人間にカーストは無い。それはやはり幻想みたいだ。
つづく
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【ごめん】やっぱり俺、めんどくさがりやわ……
明日は23時!
もうちょっとだけ書き続けてみようと思います
まだ書いてる途中で、この先どんな展開になるかわかりません
書いてはすぐに公開してを繰り返すと思います
それでも良ければ、読んでください
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