「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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景子
夕日が沈むとあたりはたちまち暗くなる。田舎だから街灯も少ない。
ぬるくなったコーンポタージュを飲み切り、私は光輔と山を下りる。
下りる間は普段特に何も話さない。だけど、今日は無言がなぜか気まずかった。やっぱりこれが最後かと思うと寂しいからなのか。
急な階段を気をつけながら降りる。何度か踏み外して擦りむいたことがある。これだけ急だから私たち以外の村の人はあの展望台に行くことが無いんだろう。
「ん?」
階段がもうすぐ終わるというときに光輔が突然声を出す。
「どうしたの?」
「あれ」
光輔が指さす方向を見ると、車が止まっていた。しかも、真っ黒の車。光輔に言われるまで気づかなかった。夜になると見えないくらい真っ黒。
村に住んでいる人が少ないので、住民の持っている車は全部知っている。だけど、こんな真っ黒の車を持っている人を私は知らない。
光輔と一緒に車に近付く。
「クラウンだ」
たぶん車の名前のことだと思う。私は車にはあまり詳しくない。
「誰の?」
「さあ」
やっぱり光輔もそこは分からないらしい。
「せたがや……」
車のナンバープレートの地名が「世田谷」となっている。東京にあることくらいは分かるけど、ちゃんとした位置とかは知らない。
なんて思っていたら、とあることに気づく。
「あれ?このナンバープレート!」
「ん?」
「私の誕生日だ」
ナンバープレートは『9-14』、私の誕生日は九月十四日。
「たしかに」
まあ「だから何」と言われればそれまでなんだけど。光輔はそんなことより、見慣れない車に興味津々だった。
止まっていたのは幽霊トンネルの手前だ。世田谷からなんらかの用事があってこの村に来た。よく分からないままトンネルまで来たが、通ることが出来ずに立ち往生している。そんなところだろうか。
でも、運転席にもその周りにも車の持ち主らしき人は見当たらなかった。光輔もぐるっと車を一周していたが、誰かが乗っている気配はない。
「ま、行くか」
「うん」
遅くなるともっと暗くなる。私たちはあの車のことが少し気になりながらも、その場をあとにした。
人が住んでいる地域まで帰ってきた。ここまで来たら、街灯も増えて夜でも安心だ。
あと少しで家に着く。光輔ともお別れ、というときに私は人影に気づく。
「タッチじゃない?」
高身長でひょろっとした影。見た瞬間に誰か分かる。
「本当だ」
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性
百白中学校三年生
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性
百白中学校三年生
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性
百白中学校三年生
【むかいくんを応援したい!感想を送りたい!という方へ】
・一番嬉しい最上級に喜ぶやり方
Twitterで「#むかブロ」をつけて感想を投稿する
ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
・ちょっと嬉しいやり方
Twitterでリプライを送っていただく(@mukatsubu)
誰かに見られたくなければ、DMでもかまいません
DMは誰でも送れるように開放しています
現在閲覧しているはてなブログ「むかブロ?」はコメント欄を封鎖する予定です(気づくのが遅くなると思うので)
なので、たまに更新しているアメーバブログ「むかブロ!」にコメントいただけると嬉しいです
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