明日何しようかな?#38

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

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心菜
 

発信中の画面が光る。けっこう待ったがなかなか繋がらない。忙しいのだろうか。

と思った次の瞬間、通話中の画面に切り替わる。

「心菜!?」

開口一番、景子は大きな声で聞いてきた。

「心菜?本当に心菜なの?」

「……うん」

「あんた、今までどこで何してたのよ!」

「いやぁ、えへへ」

笑って誤魔化す。景子も驚いてはいるが、電話越しの声はあの日と変わらない。

私は景子の連絡先を手に入れた経緯を説明する。今まで何をしていたのかと何度も聞かれたが、それは笑って誤魔化した。

「え、もうなんなの?なんか用なの?」

少し機嫌が悪くなったのが、すぐに分かる。

「いや、そのさ……お願いがあって」

「お願い?」

「うん」

「何よ」

私は一息つく。

「タイムカプセル埋めたじゃん」

「ああ、埋めた埋めた」

「あれ、掘り返したいの」

「……え、いつ?」

「なるべく早く」

「はあ?」

そりゃそうだ。自分の細かい説明抜きでそんなこと言い出したら「はあ?」と言いたくなるだろう。

「え、心菜覚えてないの?あれ、十年後に掘り返すんだよ?掘り返すのは二〇二〇年でしょ?」

「うん、だからお願いなの」

「なんで?」

「…………」

言えない。言いたくない。

「あんた、どこにいるの?今」

「……東京」

「ええ!?なんでそれを早く言わないのよ」

「ごめん」

「分かった。私も東京にいるの。またLINEするから、どっかで会おう。そのときに詳しい話を聞くから。なんか電話じゃ言い辛いことあるんでしょ?で、おどおどしてるんでしょ?」

すごい。さすが景子だ。当たっている。

「うん」

「じゃあ、また連絡するから。あと、光輔とも連絡とってないの?」

「うん、取ってない」

「光輔の連絡先も送るから。ちゃんと東京いること言いなよ、自分で」

「…………」

この日の電話は終わった。結局、景子とは日を改めて会うことを決めた。

だけど、会ってどうしようか。そのときは全部話さないといけない。

あの日の事件のことも、まだ言ってないことがある。


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

光輔らが不審な車を目撃していたことなど手がかりはあるものの、結局莉子は見つからず

事件の混乱で卒業式は中止が決定

タイムカプセルを埋めたときを最後に光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

 

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている

 

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