「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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光輔
たとえけんかしてもクラスには三人しかいない。楽しかった思い出も、イヤな思い出も全部この三人と一緒だった。
しかも俺以外の二人は女子。俺は同い年の男子の友達はいない。
それがイヤでイヤでたまらないときもあった。思春期のピークみたいな時期は顔を見るのもイヤなときもあった。でも、結局この三人しか気を許せる友達はおらず、ため息をつきながら二人と接した。
心菜。腐れ縁三人のうちの一人。ボケーっとしていて、どんくさい。顔を見ればすぐに機嫌がいいか悪いか分かる。
黄色いリュックサックがトレードマーク。こんなに目立つリュックを持っているのは心菜くらいなので、遠くから見てもすぐに心菜と分かった。
ことあるごとに俺たちにちょっかいをかけてくる。他の学年のやつには可愛いって評判だが、それは一緒にいた時間が少ないから。一緒にいればいるほど、ウザい馬鹿な女度が増してくる。
景子。腐れ縁三人のもう一人。こいつもこれまた可愛くない。サバサバしていて「はいはい」が口癖。いつも言い合ってきたし、ときには本気で口ゲンカもした。まあ結局、お互い謝り合って終わるんだけど。
そんなトゲトゲした奴なのに、たまにしんみりすることを言うこともある。それが他の学年のやつはツンデレなんて言いやがるが、そんなにいいものじゃない。ただの気まぐれなわがままだ。
その「しんみり」が初詣の終わりに出た。
「今年で最後」
俺は徳島の高校へ進学することが決まった。陸上の大会でそれなりにいい成績を収めてきたおかげでスポーツ推薦が取れた。俺は勉強が出来ない。高校生活が陸上漬けになるのは少しイヤだが、受験勉強はもっとイヤだった。
俺はこの村を出る。四月からは寮生活だ。
田舎の村とはいえ、名残はある。でも、いつまでもこの村にいるわけにもいかない。俺の出した結論は中学卒業とともにこの村を離れることだった。
景子は東京の高校へ進学する。景子の家庭は厳しい。親のスパルタ教育で勉強三昧。景子はバスを乗り継いで塾に通っていた。もちろん成績も優秀。そして、東京の名門私立高校合格を勝ち取ったのだった。
合格の報告を聞いたときは自分のことのように嬉しかった。景子がいつも地道に勉強しているのはずっと見ていた。心菜も目をうるうるさせながら「おめでとう」と言っていた。
東京の高校へ進学。東京の親戚の家で生活をするらしい。つまり、景子も春からこの村を離れるということだ。
心菜はこの村に残る。公立高校の入試がつい先日終わった。おそらく合格するであろうその高校はこの村からでもギリギリ通える。心菜は村に残り高校へ毎朝通学することを選択した。まあそれが普通の選択なんだけど。
三人は離れ離れになる。景子の言う通り、こうして三人で初詣に行くのは今年で最後だろう。
景子の呟いた言葉に心菜は反応しなかった。
神社に静寂が流れる。気まずい。
「……じゃあ、最後になんかするか?」
「なんかって何よ。」
それは俺も知らない。お前が「今年で最後」なんて寂しいこと言うから俺が無理矢理言ったんだろが、と言いたくなる。
いつもなら言ったけど、言えなかった。たしかにここ最近三人でいてもみんなどこか寂しそうだ。心菜は特にそうだった。
俺はまたテキトーに言う。
「……じゃあ、タイムカプセルでも埋めるか!」
あれから二ヶ月。俺はスコップを手にしていた。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性
百白中学校三年生
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性
百白中学校三年生
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性
百白中学校三年生
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・一番嬉しい最上級に喜ぶやり方
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ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
・ちょっと嬉しいやり方
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