明日何しようかな?#3

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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景子


こいつは馬鹿だ。顔に泥をつけて、めちゃくちゃ深い穴を掘っている。もう光輔の下半身は穴の下で見えない。

タイムカプセルを掘ろうと言い出したのは光輔だった。光輔にしては珍しく可愛い提案だった。

断る理由もない。私と心菜は快諾した。

あとのことは光輔が勝手に決めた。十年後、二十五歳になったときに掘り起こすこと。学校の裏にある空き地、そこに生えているくすの木の下に埋めること。私たちは「はいはい」と従った。

しばらくすると光輔から便箋と封筒を渡された。

「これ何?」

「未来の自分へ手紙を書こう」

すると心菜は速攻で嫌がる。

「無理!私、手紙なんて書けないもん」

馬鹿な答えに光輔は戸惑う。そこからしばらく手紙を書きたい光輔と手紙を書きたくない心菜の口論が続いた。

「景子はどう思う?」

「どっちでもいいよ」

タイムカプセルって思い出のものとかを埋めるものだと思っていた。手紙も悪くないけど、そんなの十年後読むときめちゃくちゃ恥ずかしいんだろうなって思う。

「光輔だけ書けばいいじゃん、手紙」

「みんなで書くからいいんじゃねえか。十年後、三人で掘り返して手紙が二通だったらイヤだろ?」

「別にいいもん」

見てられない。光輔はすぐに言い争いたがる。

「じゃあさ、質問にしたら?」

ここは私が折衷案を出して、醜い争いを止めなければいけない。

「質問?」

「うん。十年後の自分たちへの質問を書いたらいいんじゃない?それなら心菜も出来るでしょ?」

「さすが景子。頭いい」

心菜が雑に褒める。これもいつもこう。光輔は少し腑に落ち無さそうだったが、結局、十年後の自分への質問を書くことで収まった。

「これってさ、もちろんお互いの質問は見せないよね?」

「当たり前だろ」

心菜の質問にまだ腑に落ちてない光輔が冷たく返す。

誰もいない教室で私たちは手紙(質問)を書いた。

ポケットにその手紙が入っている。寒いからポケットに手を突っ込んで、穴を掘る馬鹿に言う。

「そんなに掘ったらさ、掘り返すとき見つかんないよ?」

すると、光輔は私のこの質問を待っていたかのようにニヤリと笑う。

地面に手を置き「よっ」と声をあげ、光輔が穴から出る。リュックを開けると、大きな段ボール箱を取り出した。

「何よ、それ」

私の質問を無視して、光輔は段ボール箱を開ける。見慣れない機械が入っていた。それを取り出し黙々と組み立て始める。

出来上がったのは草刈り機のようなものだった。長い棒の先に丸い円がくっついている。手元には小さなモニターもついている。

「ねえ、それ何」

すると、光輔はリュックから今度はアルミの缶を取り出した。それを地面に置くと、その上に機械の丸い部分をかざす。

ピーーーーーーー

高い機械音が鳴り響いた。

「金属探知機」

光輔がドヤ顔で言う。

 

 

つづく

 

 

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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月

中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……

 


【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性
百白中学校三年生

・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性
百白中学校三年生

・泉心菜(いずみ・ここな)

女性
百白中学校三年生

 


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