明日何しようかな?#57

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

第一章・第二章まとめ読みはこちら

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心菜


「……分かった。食べにいこっか」

「やったあ!」

渚さんはメモをポケットにしまい、ドーナツ屋へ歩き始めた。

「でもさ、本当にミスタードーナツでいいの?」

「いいの!ミスタードーナツがいいの」

隣町のイオンの一階にあったミスタードーナツ。そこで光輔と景子と三人でドーナツを食べた。

私が選ぶのは決まって……

「心菜ちゃん何がいい?」

フレンチクルーラー

フレンチクルーラーだった。そしたら、光輔が必ずいちゃもんをつけてくる。

「なんで?なんでエンゼルフレンチじゃないの?」

「分かってないなぁ。チョコがかかってればいいってもんじゃないの」

それでずっとプチ喧嘩をする。くだらない。今思い返すと、本当にくだらない。

エンゼルフレンチじゃなくて?」

渚さんはトングをカチカチしながら私に聞く。まさか、この質問を渚さんもしてくるとは思わなかった。

「いいの。フレンチクルーラーがいいの」

「ふーん」

渚さんはトレイにフレンチクルーラーを乗せた。

お会計を済ませたあと、店内を見渡す。席は全部埋まっていた。

「どうしよう。どこか空くまで待つ?」

「うーん、外で食べたい」

「ええ?寒いよ?」

「大丈夫」

二月。まだまだ冬で寒い。だけど、寒いのは得意だったし、何より早く座って食べたかった。

「じゃあ、近くにブランコがある公園があるから、一緒に行こうか」

「うん」

近くの公園まで歩く。渚さんは私のやりたいことを出来るだけ叶えてくれるために、綿密に計画を立ててくれた。だから、ブランコがある公園も調査済みだったみたいだ。

公園は都内にしては結構広い公園だった。ちびっこたちも寒いのに、走り回ってはしゃいでいる。

私と渚さんはベンチに腰掛けた。

「あったかい飲み物買ってくるね」

渚さんは近くの自動販売機を指さす。

「ありがとう」

ベンチには私とドーナツだけになった。

「ふぅー」

一息つくと視界が白くなる。外が寒いのもあるけど、さっきまで暖かいところにいたせいかな。

「心菜?」

急に誰かが私の名前を呼ぶ。渚さんではない。誰だ?私を知っている人?私を呼び捨てで呼ぶ人?

振り返ると景子が立っていた。


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

事件の混乱で卒業式は中止が決定

心菜が光輔に告白することや、心菜が所属していた暗号部の最後の暗号を解くこと

それらを整理することが出来ずに、光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

ニ〇一八年、舞台は東京へ

事件は解決せず、心菜とは光輔、景子ともに音信不通となってしまう

景子は自宅の近くで雨宿りをしたのをきっかけに雑居ビルでアトリエを開いているすみれと出会う

すみれは腕に元カレのタトゥーが入っており、まともな職につくことが出来ないでいた

光輔は会社の帰り道、車窓からたまたまアパートの廊下にいた心菜を見かける

驚いた光輔は電車を飛び降り、心菜を探す

結局、心菜は見つからなかったが、心菜を見つけたアパートを確認することに

すると、アパートの一室にはあの日失踪したはずの莉子がいた

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」。


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている。


・羽田部長(はねだ)

男性。光輔の上司。


・松尾(まつお)

男性。光輔の部下。


・林さん(はやし)

女性。「グッバイぐっちー」を運営する。

 

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