明日何しようかな?#4

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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景子


私のため息は機械音に消される。

「これさえあれば、どこに埋めても、どんなに深く埋めても大丈夫!」

「そんなのなんで持ってんの」

「お父さんの趣味」

どんな趣味よ、って言うのも面倒くさかった。

光輔は缶を穴の底に放りなげる。地表からでも金属探知機をかざすと、しっかりと反応するのを確認している。

「よし、埋めよう」

光輔は穴の底に目一杯手を伸ばして缶を取り出す。たぶんクッキーかなんかが入っていた缶だ。缶はかなりかっちり閉まるようで、光輔は力を入れて蓋を開けた。

「手紙出して」

三人は手紙を取り出す。全員同じ封筒。裏に名前が書いてある。それぞれの文字で『十年後の自分へ』と書いてある。何を書いたのかはお互い知らない。

それぞれが手紙を缶の中に入れる。あと、それぞれ自分がいれたい思い出のものも入れる。

「やっぱりなんかものとかもいれたらいいんじゃない?」

そう私が聞くと、光輔は驚きながら答える。

「なるほど、その発想はなかった」

こいつはタイムカプセルをなんだと思っているんだ。

持ち寄った「思い出のもの」を見せ合う。

私はレミオロメンのアルバムだった。

「なんで?」

心菜が聞く。

「好きだから」

「じゃあいれたらダメじゃない?」

「もう一枚持ってる」

私はCDは聞く用と保存用の二枚持っている。今回は保存用を一枚、タイムカプセルに捧げることにした。

「掘り返すのは卒業式の十年後なんでしょ?明日は何月何日?」

「三月九日か」

「だから面白いかな~って思って」

ふ~ん、と心菜は納得した様子。あと、十年経ったときCDというものがまだ使われているのかも気になる。

光輔はフィギュア。たぶんなんとかレンジャーのやつ。小学校のとき、光輔はいっつもこれで遊んでいた。そのせいでフィギュアの塗装ははげていてボロボロだ。

心菜はたまごっち。これも心菜は四六時中やっていた。「景子もやろうよ」と何度も誘われたが何が面白いのか全く分からなかったので断った。

「二人とも子供すぎない?」

「十年後見たら懐かしくなるんだよ」

うんうんと大きくうなずく心菜。この二人はたぶんIQが一緒だ。

手紙三通、CD、フィギュア、ゲーム。それらが入った缶を光輔が閉める。蓋を閉めたあと、ビニールテープでぐるぐるに巻く。

「これでよし」

光輔は缶を穴の底にそっと置く。

「埋めるよ?いい?」

私は無言でうなずく。心菜もうなずく。

光輔は山盛りの土を穴に戻し始めた。

「十年後か……」

心菜が聞こえるか聞こえないかの声で呟く。

私は何か返してあげたかったけど、何も返すことが出来なかった。

 

 

つづく

 

 

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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月

中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……

 


【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性
百白中学校三年生

・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性
百白中学校三年生

・泉心菜(いずみ・ここな)

女性
百白中学校三年生

 


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