「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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心菜
光輔は手を真っ黒にしながら土を穴に戻している。
こうして光輔と景子の横顔を近くで見られるのも、もう明日だけ。
なんとなく、この三人はずっと一緒にいると思っていた。でも、この町に残るのは私だけ。四月からどうすればいいんだろって悩むくらい、私は寂しかった。
でも、二人はそうでもなさそうだ。寂しくないのかな?あんまりそういう雰囲気は感じさせない。強がっているようにも見えない。
「で、どうすんの」
景子が唐突に聞く。私にだけに聞こえるような小声で。
「どうすんのって?」
「とぼけんじゃないよ。告白しないの?」
「えっ?」
「えっ?」とは言ったものの、その質問はいつかされるだろうなと思っていた。今されるとは思わなかったけど。
私は無言で誤魔化す。
「誤魔化しても無駄。顔真っ赤だよ。」
景子には私の誤魔化しは通用しなかった。
「光輔は明後日この村を出るの。明日は卒業式。告るんなら、今日か明日。はい、どうする?」
「どうするって……」
どうしよう。
小さな頃から私の周りに男の子は光輔しかいなかった。景子と光輔と遊ぶのが当たり前。私はずっとこの二人は幼馴染だと思っていた。
「あんた、光輔のこと好きでしょ?」
いつかは忘れた。暑い日だったか寒い日だったかも覚えてない。唐突に景子に言われた。
そんなこと考えたことなかった。好きな人が出来た、とかそんなこと。
「なんでそう思うの?」
「だって、放課後ずっと窓から光輔のこと見てんだもん」
そう言われた瞬間は確かに私の体は窓を向いていた。校庭では今日も光輔が陸上部の練習をしている。
「それは……、暇だから見てるだけ。暇つぶし」
拙い言い訳を無理矢理呟く。
「あっそう」
景子の返事はそっけなかった。
そのときはそれで終わったけど、それからも景子はたびたび私に聞いてきた。
「ほら、また光輔見てる」
それを言われるとき、私は必ず校庭向きの窓の方を向いていた。
よく分かんなかった。漫画とかアニメの恋愛ものは好きだけど、自分が恋愛しているかどうかは分かんなかった。
これもいつだったか忘れたけど、そのことを景子に言った。
すると景子は珍しく声を出して笑った。
「まあ私は心菜が光輔のこと好きなら応援するよ」
景子は時々その話を私にしてきた。冷やかしているつもりなんだろうか?いじっているつもりなんだろうか?でも私は「やめて」とも言えず、いつも誤魔化していた。
たまに夜眠れなくなる。
「私は光輔のことが好きなのかな?」
その答えは出なかったし、そんなこと考えている自分が急に恥ずかしくなったりもした。
でも最後は決まって、こう自分に言い聞かせていた。
「どうせずっと一緒にいるだろうし、今は今のままでいいや」
「俺、高校決まったかもしれん」
光輔が教えてくれたのは二学期だった。陸上の推薦をもらったって報告だった。
嬉しかった。光輔がいつも真剣に陸上に取り組んでいるのは知っていたし、なにより友達の進路が決まったことが嬉しかった。
でも、その日からまた新しい悩みが増えてしまった。
「今は今のままでいいや」
その「今」が終わる。明日で終わる。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性
百白中学校三年生
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性
百白中学校三年生
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性
百白中学校三年生
【むかいくんを応援したい!感想を送りたい!という方へ】
・一番嬉しい最上級に喜ぶやり方
Twitterで「#むかブロ」をつけて感想を投稿する
ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
・ちょっと嬉しいやり方
Twitterでリプライを送っていただく(@mukatsubu)
誰かに見られたくなければ、DMでもかまいません
DMは誰でも送れるように開放しています
現在閲覧しているはてなブログ「むかブロ?」はコメント欄を封鎖する予定です(気づくのが遅くなると思うので)
なので、たまに更新しているアメーバブログ「むかブロ!」にコメントいただけると嬉しいです
仲の知れたあなたならLINEでもかまいません
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