明日何しようかな?#6

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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心菜


「どうするのって」

景子は光輔に聞こえないギリギリ大きい声で私にもう一度聞く。

光輔は相変わらず穴を埋めている。

「……わかんない」

景子はため息をつく。

「私もこんな早く離れ離れになるとは思ってなかったよ。でも、いつかはそういう日が来るってのは分かってたでしょ?こんな村にいつまでも残る人なんていないだろうし」

「…………」

「明日、卒業式終わったら告白しよう。決まりね?」

「えええ!?」

私の声に光輔が気付く。

「どうした?」

「いや、なんでもない」

光輔は気に留めることもなく、穴を埋める作業に戻った。

「なんで景子が決めるの?」

「だってそうしないと告んないでしょ?」

全く持ってその通りだった。

「でも……」

「心菜は言うことだけ考えとけばいいよ。あとは私がなんとかするから」

「えっ?」

「もちろん二人きりにするから。ね?」

景子はにっこり微笑む。

私はうなずいた。うなずくことしか出来なかった。

「よし。終わった」

地面に人の肩幅くらいの直径の円が出来ていた。そこだけ他の地面と色が違う。

「次、ここを掘るのは十年後」

「楽しみだね」

景子は楽しそうに言った。

光輔は学校の時計を見る。

「やべっ。もうこんな時間じゃん。早く山登んないと日が暮れちゃう」

光輔は急いで金属探知機を箱になおしていた。

山に登る、と言っても大したことはない。学校の裏にある小さな山の途中まで登って夕日が沈むのを見ること。

私たちはよく夕方になると山に登っていた。そこで何もしゃべらず夕日が沈むのを見る。

沈んだら帰る。それだけ。

中学生になってから光輔が部活で来られなかったり、景子が塾で来られなかったりしたけど、私たちは時々山に登っていた。

それが出来るのも今日が最後。明日の夕方、光輔は忙しいらしい。

…………でも。

「心菜はやっぱり行けないのか?」

「うん」

私は今日は山に登らない。登れない。

絶対に外せない用事があった。

 

 

つづく

 

 

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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月

中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……

 


【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性
百白中学校三年生

・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性
百白中学校三年生

・泉心菜(いずみ・ここな)

女性
百白中学校三年生

 


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