明日何しようかな?#7

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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光輔


こうして同級生と山に登れるのも今日が最後かもしれない。

というのに、心菜は来なかった。

何度も「行かないのか?」と聞いたが、心菜は首を縦に振らなかった。

結局、俺と景子は心菜と別れた。心菜の黄色いリュックサックが離れていくのを二人で見送った。

「なんで?なんで来れないわけ?」

俺は正直不満だった。

「たぶんなんか家の用事だよ」

そう答えるが、景子も腑に落ちてない様子だった。

心菜が来ないのは珍しい。よっぽどの事情があるんだろう。だから問いただしたりはしなかった。

でも、不満は不満だ。

「そんな不機嫌にならなくてもいいじゃん」

景子が俺の心を察して声をかけてくれる。

「うん」

小さく返した。

俺たちはいつも通りの道で山に登る。幽霊トンネルの前まで着いた。

「あのさ……」

「イヤ!」

景子は俺の言うことを先に読んで断る。

「どうせ、今日が最後だから幽霊トンネル抜けてみない?とか言うんでしょ?」

図星だった。

俺たちが山に登って目指す場所はちょっとだけ展望台みたいになっている。山が拓けていて、そこから海を一望出来る。ベンチもあるから、そこに座って俺たちは夕日が沈むのを眺める。

そこへの道のりはひたすら階段を上るだけ。俺はたまに陸上部の練習でも使っていた。そのくらいわりと急な階段だった。

でも、一つだけショートカット出来るルートがある。それが今目の前にあるトンネル、通称「幽霊トンネル」だ。

ここを抜けると山の反対側へ出ることが出来る。隣町へは断然早く行ける。トンネルを抜けた隣町側から山に登ると展望台へは圧倒的に楽に登れる。勾配がこちら側と比べて緩やかだからだ。

だけど、このトンネルは簡単なバリケードが貼られていて、今は使用不可になっている。

理由は小さな頃は幽霊が出るからと言われた。昔、子供がこのトンネルに入って行方不明になったらしい。でも、誰もその事件の詳細は知らない。だから本当のことは分からない。そもそも幽霊が出るのと子供が行方不明になったのは別の問題な気がする。耐震の問題があるからとか言っていた人もいた気がする。

定期的に村の話し合いでこのトンネルを使えるようにしてくれ、新しいトンネルを作ってくれという意見は出る。高齢者にとって隣町へ楽に行けるのは嬉しいことだからだ。そういった意見を村長を通じて、市や府にアピールしているらしいが、何一つ相手にしてもらえないらしい。この村の力の無さが分かる。

とにかく、この「幽霊トンネル」には絶対に入るなとだけは親に強く言われている。というのも実は小学生のときこっそり入ったことがある。近所のお兄ちゃんたちに連れられて肝試しをしに行った。それが運悪く大人に見つかって、近所の人に怒られてしまった。なんでそんなに怒るのか分からなかったが、信じられないくらい怒鳴られた。それ以降、幽霊トンネルには入っていない。

 

 

つづく

 

 

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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月

中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……

 


【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性
百白中学校三年生

・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性
百白中学校三年生

・泉心菜(いずみ・ここな)

女性
百白中学校三年生

 


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