「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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光輔
地面が固いせいか甲高いスコップの金属音が大きく響く。
「※○△✖÷☆☐◎!?」
「ええ?なんて?」
心菜の口だけがパクパク動いている。が、何も聞こえない。
俺は手を止める。
「そんなに!掘る必要あんの!」
「あるよ!十年の間に誰かに見つかって掘り返されたらどうすんの?」
「見つかるわけないじゃん」
景子が冷たく言い返す。目が「馬鹿なの?」と言っている。
「あんな?俺たちとおんなじこと考えたやつがおんなじところ掘る可能性もあるかもしれないだろ?」
「ないわ。キンキンキンキンうるさいし、もうやめなよ」
景子は「うう~寒い」とわざとらしく聞こえるように言ってくる。
「だいたいさ、タイムカプセル埋めようって思ったのは、景子の発言がきっかけなんだからな」
「もうそれも何回も聞いたってば」
心菜が俺たちの会話に割って入る。
「もう!なんでそうやってすぐけんかするの!」
俺と景子は瞬時に返す。
「けんかじゃねえよ」
「けんかじゃないってば」
二人の言葉は綺麗にハモる。あまりに綺麗だったので、心菜が笑う。つられて俺と景子も笑う。
「明日で中学生活が終わるんだよ?景子もそんな冷たく言わないでいいし、光輔はそんなに掘らなくても大丈夫だよ」
いつもの会話。いつものやり取り。俺と景子が言い合いをして、心菜が止める。そんな日常も明日で終わりだった。
俺たちがタイムカプセルを埋めようと計画し始めたのはちょうど今年が始まった日、二○一○年の元日だった。
毎年必ず三人で初詣に行くのがお決まりだった。三人で元日の朝に集まって、近所の神社にお参りする。それだけ。
「今年で最後かもね……」
お参りを終えて神社のベンチに腰掛けたあと、景子がボソっと言った。
俺たち三人はいつも一緒だった。
大阪にある小さな市にある小さな村、百白(ひゃくしろ)村で俺たちは育った。
百白村の人口は数百人ほど。ほとんどが老人。ほぼ全員顔と名前が分かるくらいだ。コンビニにも車で行かないといけない。道路にはしょっちゅう動物が出てくる。田舎も田舎な村だ。
村唯一の百白中学校は全校生徒十二人。俺たちの学年はたった三人しかいなかった。
俺と景子と心菜。
小学校からずっと一緒。クラスも一つで、もちろんクラス替えなんてものもない。イヤでも三人はずっと一緒だった。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性
百白中学校三年生
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性
百白中学校三年生
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性
百白中学校三年生
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ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
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