氏名:原田久美(はらだ・くみ)
年代:二十代
性別:女性
同居人:あり
職業:モデル
日時:二〇二〇年四月二十二日
「え~世間では、なんとかウイルスってやつが流行ってますけども~」
ライはグラスを突き上げ、声を張る。
「ウイルスとかばい菌は~、アルコールで除菌できます!」
「うぇーい」と他のホストやお客から声が上がる。
「今晩しこたま飲んで、ウイルスやっつけましょう!」
ライはさらにグラスを突き上げる。
「乾杯!」
「「「乾杯!」」」
シャンパンが注がれたグラスとグラスがぶつかる音があちこちで鳴る。私の周りにいる男たちはいつもより数が多かった。
私はこうゆうと意外と思われるが、学生の頃はモテなかった。高校卒業までにちゃんと付き合った男は三人ぐらいかな?決して陰キャではなかったけど、そんな明るい奴でもなかった。
テキトーに選んだ大学でテキトーに遊んで過ごしてたある日。たまたま街で声をかけられた。スカウトだった。
将来の夢なんてなかった。大学を卒業したら、まあまたテキトーに会社入って平凡な人生送ろうと思ってた。勉強するのはやだし、努力するのも嫌い。ヤンキーみたいにぐれた人生でもないし、悪いこともしてない。フツーの人生で十分だった。
それがある日突然スカウトに声をかけられて人生が変わる。別にモデルをやる気なんて全くなかったけれど、ただ単純に「かわいい」と声をかけられたのが嬉しかった。
「ぶっちゃけ稼げるんすか?」
冗談交じりにスカウトに聞く。
「君ならきっと稼げると思うよ。かわいいだけじゃなくて、華がないとモデルとしてはやっていけない。だけど、君は華があるからね」
ま、やめたくなったらやめればいっか。私はスカウトの話を「はいはい」と聞き入れ、モデルになることにした。
スカウトの男は山下ってゆう名前。山下はそのまま私のマネージャーになって二人三脚で仕事をすることになった。
山下はこれまで数多くのモデルや芸能人をプロデュースしてきたらしい。聞けば聞くほど山下の手によって芸能界デビューしたビッグネームのタレントが出てくる。それだけ力も持っているらしく、私はあっという間に大量の仕事が入ってきた。
最初は来た仕事を淡々とこなした。感覚はバイトと一緒。初めてやる仕事ばっかりだったから、楽しいなって感じはした。
「うそ……」
給与明細を見たときに漏れた言葉。びっくりした。ありえんぐらいのお金が書かれていた。どの仕事がどのくらいお金が入るのかはよく分からない。ただ、私の予想の数倍多いお給料だった。
最高だ。毎月こんだけお金が入ってくるんなら、もっといい家に住んで、もっといい服が着れる。私は山下の指示通りに仕事をこなした。
山下は私のやり方には特に口出しをしない。私のやりたいようにやればいいと、特にダメだしをするような人ではなかった。
「共演した人には必ず礼儀を欠かすな」
唯一これだけは厳しかった。共演した人には後日お礼をする。プライベートでも積極的に飲みに行く。これが山下いわくこの業界でやっていく秘訣らしい。
そうゆうのはあまり得意ではなかった。と思っていたが、ちょっとずつちょっとずつ慣れていった。テレビの共演者にLINEとかDMを送って、頻繁にご飯に連れてってもらう。それがどんどん当たり前になっていった。
そんなんでいいのか私?と思うときもあった。でも、こうゆうご飯連れてってくれる人はだいたい目上の人で、だいたい女好き。いいお店に連れてってくれるうえに、ご飯代はおごってくれる。人によってはタクシー代までくれる。食費も交通費もかからない。給料はめっちゃ入ってくる。そんなんやめられるわけなかった。
「おもしろいところ連れてってあげる」
同じ事務所の先輩のモデルさんがある日私にこう声をかけてくれた。私はいつも通りニコニコしながら着いていった。連れてかれたのが、ホストクラブだった。
つづく
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もうちょっとだけ書き続けてみようと思います
まだ書いてる途中で、この先どんな展開になるかわかりません
書いてはすぐに公開してを繰り返すと思います
それでも良ければ、読んでください
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