明日何しようかな?#30

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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景子


そこには髪の長い女の人が立っていた。

「うわあああ!」

思わず叫んでしまう。髪が長いといっても、お世辞にも綺麗な髪とは言えない。ボサボサでまとまっていない。顔色は白い。暗闇の階段から降りてきたようだが、暗さも相まってまるで幽霊みたいだ。

脳が咄嗟にここを離れろと命令する。

「あの……、すみません!ちょっと雨宿りしてたんです!あの!その!怪しい人じゃないです!」

私はパニックになりながら、この場を立ち去る言葉を探す。

「なんで、もう帰りますね!」

「……………………んか」

ん?何か言っている。

「え?」

「……………………ませんか」

「ええ?」

二度目も聞き取れない。私はさっきよりも大きい声で聞き返す。

「あの……、良かったらうち寄っていきませんか?」

かなり小さい細い声が聞こえる。彼女なりには精一杯の大きな声だったんだろう。

「え?いや……そんな、遠慮しておきます」

「でも……」

彼女は外を見る。私も同じ方向を見る。

ガッシャーンと大きな音を立てて雷が落ちた。

「ね?」

「…………」

「あの!私、アトリエやってるんです。ここの二階で。だから、大丈夫。怪しくない。雨が止むまでちょっとだけ、どうですか?ね?」

彼女は精一杯の笑顔を見せる。ちゃんと顔を見ると優しそうな目をしていた。

彼女は今度は壁の方を指さす。


長谷川すみれアトリエ
FLOWER


と書かれた看板があった。真っ暗な廊下に黒色の看板。そこそこ大きいのに、今の今まで気づかなかった。

私は少し緊張がほぐれてくる。この人はたぶんいい人のような気がしてきたからだ。

「あなたが長谷川すみれさん?」

「はい、そうです」

「ふーん。あ、私は佐々木景子です」

「あ、佐々木さん。はい」

もう一度、私はビルの外に目をやる。全く雨は止む気配はなかった。

……仕方ない。今選ぶことの出来る選択肢で一番いい選択肢は彼女についていくことだった。

「……じゃあ、少しだけ雨宿りさせてもらえる?」

「はい!」

すみれさんは今日一番大きい声で返事をしたあと、クルっと振り返り階段を上り始めた。


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

光輔らが不審な車を目撃していたことなど手がかりはあるものの、結局莉子は見つからず

事件の混乱で卒業式は中止が決定

タイムカプセルを埋めたときを最後に光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

 

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている

 

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