「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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景子
しかめっ面で大股で帰り道を歩く。
「こうしてネオンさんと今日出会えたのも運命だと思うんです」
きっっっしょく悪い。思い出しただけでムズムズする。
でも、何かあいつに手の平で転がされているような気にもなる。実際、あいつのことが頭から離れない。こうやって、人の心を掴んでいったからこそ、一流の美容整形外科医になれたんだろうな。妙に納得もしてしまう。
それでも気分が悪いものは悪い。一人でお酒でも飲んで帰ろうかと思うくらいだ。まだ夕方だけど。
最寄り駅を降りて、薄暗い町を進む。お酒でも飲んでやろうかと思ったが、あいにく私の家の近所は店が少ない。東京で一人暮らしを始めたときはお金が無かったので、都会の中心には住めなかった。駅からはそれなりに歩くし、町はそこまで活気はない。とは言っても、あの百白村よりかは数億倍ましだけど。
家賃が安い物件を選んだせいで、このあたりはあまりいい評判は聞かない。ネットで検索をかけても「治安が悪い」とか「住みたくない街ランキング上位」とか出てくる。まあ長年このへんに住んでいるが、特に困ったことはない。犯罪に巻き込まれたり、不審者に遭遇したりしたことはない。ただ、どうやって食っているんだろうという怪しいお店が多いのが不気味なのは未だに慣れない。だからあまりこの町のことは詳しく知らない。
ポツっと小さな水滴が頭に落ちる。
「あれ?」
空を見上げると見事に自分がいる周辺だけ、どんよりと黒い雲が覆っていた。
(まずい……)
と思った途端、嫌な予感は的中する。雨だ。急にびっくりするくらい雨が降ってきた。
最悪だ。とりあえず、カバンを頭の上に掲げて走る。雨宿り出来そうな場所を探す。
三階建てくらいの雑居ビルに緊急避難する。
一階はシャッターが閉まっていて、何があるのか分からない。でも、人が二人分くらいのスペースがあった。私はそこに入って雨をしのぐ。
外から見たときは暗くてよく見えなかったが、スペースの奥には階段があった。ここから二階や三階へ上がることが出来るのだろう。
見るからに怪しいビルなので、さっさと出たい。私はびしょびしょになったカバンを探る。たしか折り畳み傘があったはずだ。
……無い。あれ?傘はいつも入れているはずなのに……と自問したところで気づく。そうだ、先週同僚に貸したんだった。
「私は傘あるんで、これどうぞ」
そんなこと言っていた先週の自分を憎む。というか、あの同僚はなんで傘をすぐに返さないんだ?普通、翌日には返すだろう。借りパク?
……ダメだ。どんどんイライラが募っていく。全部あの医者のせいだ。
東京の狭い空を睨みつける。私のイライラと比例するように雨は強くなっていた。
私は雨に当たらない程度にビルから首をひょっこり出す。近くにコンビニとかカフェはないだろうか?右と左、二回ずつ見たが、私の目当てのものは見当たらなかった。
首を引っ込める。これはどうも雨が止むまで、ここにいなきゃいけないみたいだ。たぶんすぐに止むだろう。
と、思った次の瞬間だった。
私は肩に温もりを感じる。一瞬でゾワっと鳥肌が立つ。反射ですぐに後ろを向いた。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める
卒業式当日
景子の姉である莉子の失踪事件が起こる
光輔らが不審な車を目撃していたことなど手がかりはあるものの、結局莉子は見つからず
事件の混乱で卒業式は中止が決定
タイムカプセルを埋めたときを最後に光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性。百白中学校出身。さばさばした性格。
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。
・佐々木莉子(ささき・りこ)
女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。
・上杉史也(うえすぎ・ふみや)
男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」
・益川正義(ますかわ・せいぎ)
男性。莉子失踪事件を担当する刑事。
・早見徹(はやみ・とおる)
男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。
・片寄渚(かたよせ・なぎさ)
女性。心菜の味方をする。
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ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
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