明日何しようかな?#46

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

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光輔


一人でご飯を食べ終え、一人で皿を洗う。

むしゃくしゃする。自分のまわりの全ての人間が敵なんじゃないかと思い始める。

こんなに俺は頑張っているのに、誰も見向きもしてくれない。会社でも怒られてばかりだし、妻は帰ってもすでに寝ている。それに、事件は何も進展しない。

「まだ、あったっけ」

俺は冷蔵庫を開ける。あった。缶ビールが二本冷えていた。

机に座りなおし、一人で缶ビールを開ける。飲まなきゃやっていられなかった。

「プハー」

あまり酒に強いタイプではない。ビール一本も飲めばすぐにベロベロになる。だけど、あまりに寂しいときはついつい一人で飲んでしまうことがあった。学生の頃、彼女にフラれたときとか、大会でいい結果が残せなかったときとか。夜中まで一人で飲んで気を紛らわせることもあったっけ。

最近はめっきりそんな機会もなかったのにな。このビールも年末に妻と飲もうと思って買っておいたものだ。

酒を飲む習慣がないので、おつまみなんて気の利いたものは家にはない。コンビニに買いにいくのも面倒だ。

強いて言うなら、スマホがおつまみってところだろうか。どうでもいいニュースを流し読みしながらビールを無理矢理飲む。

あ、そうだ。

ふと思い出す。一人で夜ご飯を食べながらスマホをいじっていたときに見た広告。いつもなら「うぜえ」と思いながら、広告をよけてスクロールするが、その広告は珍しく自分の気に止まった。


「グッバイぐっちー」


誰にも言えないような愚痴を聞いてあげるというサービス。やり方は簡単でスマホで電話番号などの個人情報を登録して、電話をかけてきてほしい時間を指定する。相手が見つかれば、どこかの誰かが自分の愚痴を聞いてくれるらしい。利用料金はカードで引き落とし。通話時間によって料金は変わる。

広告を見た時「こんなのあるんだ」ってびっくりしたと同時に、今の自分にピッタリだと思ってしまった。

こんなどこかの誰かに頼るなんて情けないような気もする。だけど、今の自分はあまりに寂しかった。誰かに相手してほしかった。

俺は「グッバイぐっちー」で検索をする。公式サイトに飛び、会員登録をする。今の時間ならすぐに対応可能と書かれていた。まるで俺を待っていたかのようだ。

「ふう……」

一息つく。緊張する。愚痴を聞いてもらうだけなのに、なぜか自分が緊張する。余計にストレスを感じているのでは?いやいや、そんなことはない。愚痴を話せば何か変わるんだろう。

心の中で自問自答したあと、俺は愚痴聞きサービスの希望を送信した。これでうまくいけば、電話がかかってくるはずだ。

ビールを一口飲む。

ブーーーーーーーー

テーブルの上のスマホが震える。そんなに早くかかってくるとは思っておらず、焦ってしまう。

よし。ビールを置いて、俺は着信に出た。


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

事件の混乱で卒業式は中止が決定

心菜が光輔に告白することや、心菜が所属していた暗号部の最後の暗号を解くこと

それらを整理することが出来ずに、光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

ニ〇一八年、舞台は東京へ

事件は解決せず、心菜とは光輔、景子ともに音信不通となってしまう

景子は自宅の近くで雨宿りをしたのをきっかけに雑居ビルでアトリエを開いているすみれと出会う

すみれは腕に元カレのタトゥーが入っており、まともな職につくことが出来ないでいた

光輔は会社の帰り道、車窓からたまたまアパートの廊下にいた心菜を見かける

驚いた光輔は電車を飛び降り、心菜を探す

結局、心菜は見つからなかったが、心菜を見つけたアパートを確認することに

すると、アパートの一室にはあの日失踪したはずの莉子がいた

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」。


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている。


・羽田部長(はねだ)

男性。光輔の上司。


・松尾(まつお)

男性。光輔の部下。

 

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