「むかブロ?」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
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莉子
私はいい子だった。
「莉子ちゃんは偉いね」
「さすが莉子ちゃん」
「莉子ちゃんは将来立派な大人になるんだろうなぁ」
私がずっと言われてきた言葉。周りから常に期待される。いい高校に行って、いい大学に行って、いい会社に就職して……。そんな未来を描いて生きてきた。
いつからだろうか、それが辛くなったのは。いつからだろうか、未来を描くのが苦痛になったのは。私はいつの間にか無理矢理未来を描こうともがいていた。
いい成績を取っても誰も褒めてくれなくなった。それが当たり前でしょ?って言われてるみたいだった。
「また佐々木が一位か」
クラスメートにそう言われるのも、昔は誇らしげだった。でも今は嫌味にしか聞こえない。もう今は私の周りにいる人は全員敵に見えた。
逆に成績が落ちると怒られた。どうして勉強しなかったんだって。私がどれだけ勉強しているかもしらないくせに。
「佐々木どうしたんだ?」
先生も平気でこう言ってくる。それが私にとってどれだけ辛いことかも分からないくせに。
昔は勉強は嫌いじゃなかった。勉強すれば親が喜ぶ。勉強すればテストで良い点が取れる。勉強すれば褒めてもらえる。勉強は気分が良くなる楽しいものだった。
「将来何になりたいの?」
よく聞かれる質問。私は昔から「わかんない」と答えていた。言葉の通り分からないからだ。
中学生になって少しずつ私も大人に近づいた。近づけば近づくほど、心の中の不安が大きくなった。
私は将来何になりたいんだろう。一体何のために勉強しているんだろう。
それでも勉強すればきっと何か見つけられる。そう信じて勉強し続けてきた。常に成績を落としてはいけないプレッシャーと自分の中の不安と戦いながら。
今思えばずっと誤魔化してたんだと思う。大丈夫、自分はいい子なんだから、真面目なんだからって言い聞かせて誤魔化していた。
だけど、それが出来なくなった。
高校生になったある日、突然机に向かうのが辛くなった。
「私は何のために勉強しているんだ?」
その質問に答えることが出来ずにペンを持つ手が止まった。
でも勉強をしなかったらテストで点が取れない。すると、親に怒られる。
私はその恐怖でしか動くことが出来なかった。モチベーションも目標もない。ただただ怒られたくないという気持ちだけで机に向かい続けた。
苦しい。いつまでこの生活が続く?いつかはこの家を出ていくかもしれない。だけど、いつまでもいつまでも私は「いい子」でい続けなければいけないのか?一生?
歯を食いしばってペンを持つ手を動かす。この苦しみから抜け出したくなった。
誰でもいい。誰か私を助けて欲しい。私は小さなSOSを出した。
誰も私のことなんて助けてくれやしない。そんなこと分かっていた。私より苦しんでいる人なんて世界中に山ほどいる。私なんて……。
高校生の夏休み。私の出した結論は死ぬことだった。
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月
中学卒業を間近に控えた三人は記念にタイムカプセルを埋めようと企画する……
【登場人物】
・福山光輔(ふくやま・こうすけ)
男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。
・佐々木景子(ささき・けいこ)
女性。百白中学校出身。さばさばした性格。
・泉心菜(いずみ・ここな)
女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。
・佐々木莉子(ささき・りこ)
女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。
・上杉史也(うえすぎ・ふみや)
男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」
・益川正義(ますかわ・せいぎ)
男性。莉子失踪事件を担当する刑事。
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ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
このブログへのリンクが貼ってあるツイートを引用リツイートしてもらえると感無量です
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