明日何しようかな?#66

「むかブロ?」140日連続更新企画

自作小説を連載しています

温かい目で読んでください

第一~三章(#1~#58)のまとめ読みはこちら

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光輔


俺は中学時代までさかのぼって、ナオコさんに全てを話し始めた。事件のこと、親友のこと、親友と今までのこと、益川さんのこと、莉子ちゃんに似ている人を発見したこと、それが全部勘違いだったこと。

全部を早口で話した。たぶん三十分くらい話しっぱなしだったと思う。

こんなことしても意味ないことなんて、分かっていた。でも、こんなことを全部聞いてくれるのも今はナオコさんしかいなかった。本当は妻がいるはずなのに。

「それでさ、事件が何にも解決せずに今日ってわけ」

「そうですか……」

「もう俺ダメかもしんない……」

「そんなことないですよ!」

ナオコさんにだいぶ迷惑をかけているのは分かっている。こんなもの「愚痴」とは言えない。人生相談というか、もうカウンセラーに聞いてもらわないといけない話だ。

それでも、ナオコさんは黙って聞いてくれた。

「……奥さんとはお話しされましたか?」

さすがに事件の話はもうしたくなかったのだろう。ナオコさんは話題を変える。

「してない」

「そうですか……」

「バレンタインもなんにもなかった」

「それは残念です」

バレンタインなんて覚えているのかな?別にどうでもいいっちゃどうでもいいんだけど。でも去年はちょっとしたお店で買ったチョコレート渡してくれたんだけどな。

「ごめんね、ナオコさん。こんな電話しちゃって」

「いえ」

「俺もうどうすればいいか分かんないんだよね」

「大丈夫ですよ!フクヤマさんの持前のバイタリティーがあれば、辛いことも乗り越えられますって」

ナオコさんはこうやっていつも色んな言葉で励ましてくれる。

「……ありがとう」

「……その事件の話、私もテレビで見たことあります」

「え?」

「なんか不審な車の目撃情報があったやつですよね」

「そう!それ!」

俺はなぜか声のボリュームが上がる。

「ナンバーが分かってるんでしたっけ?」

すごいそんなことまで知っているなんて。まああれだけ連日ニュースで報道されていたら知っているか。

俺は車の話をする。あのときどういう状況で車を見たか、ナンバープレートをなぜ覚えていたか、そんな話。

「黒のクラウンの9-14ですね。私も町で車見ながら探してみますね!」

「ありがとう……」

そんなことさせちゃダメなのに。そんなことしてもどうせ見つからないのに。

申し訳無かったけど、ナオコさんなりの優しさだったんだろう。

俺はしばらく話したあと適当に電話を終わらせた。

「はあ……」

何やっているんだろう。自分で自分が分からない。それでもナオコさんの声を聞くと落ち着いている自分がいた。

そのおかげでこの日はなんとか眠りにつくことが出来た。


つづく


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【「明日何しようかな」あらすじ】

大阪にあるド田舎な村「百白(ひゃくしろ)村」

学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった

二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める

卒業式当日

景子の姉である莉子の失踪事件が起こる

事件の混乱で卒業式は中止が決定

心菜が光輔に告白することや、心菜が所属していた暗号部の最後の暗号を解くこと

それらを整理することが出来ずに、光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう

ニ〇一八年、舞台は東京へ

事件は解決せず、心菜とは光輔、景子ともに音信不通となってしまう

景子は自宅の近くで雨宿りをしたのをきっかけに雑居ビルでアトリエを開いているすみれと出会う

すみれは腕に元カレのタトゥーが入っており、まともな職につくことが出来ないでいた

光輔は会社の帰り道、車窓からたまたまアパートの廊下にいた心菜を見かける

驚いた光輔は電車を飛び降り、心菜を探す

結局、心菜は見つからなかったが、心菜を見つけたアパートを確認することに

すると、アパートの一室にはあの日失踪したはずの莉子がいた

 

【登場人物】

・福山光輔(ふくやま・こうすけ

男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。


・佐々木景子(ささき・けいこ)

女性。百白中学校出身。さばさばした性格。


・泉心菜(いずみ・ここな)

女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。


・佐々木莉子(ささき・りこ)

女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。


・上杉史也(うえすぎ・ふみや)

男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」。


・益川正義(ますかわ・せいぎ)

男性。莉子失踪事件を担当する刑事。


・早見徹(はやみ・とおる)

男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。


・片寄渚(かたよせ・なぎさ)

女性。心菜の味方をする。


・長谷川すみれ(はせがわ・すみれ)

女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている。


・羽田部長(はねだ)

男性。光輔の上司。


・松尾(まつお)

男性。光輔の部下。


・林さん(はやし)

女性。「グッバイぐっちー」を運営する。

 

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