「むかブロ？」140日連続更新企画
自作小説を連載しています
温かい目で読んでください
第一章・第二章まとめ読みはこちら
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景子
「ありがとうございました」
二人でアトリエをあとにする林さんをお見送りする。林さんは手を振りながら帰っていった。
その姿が見えなくなってすぐ、すみれさんが私に向かって頭を深く下げる。
「ありがとうございます！」
「ちょっとやめてよ、そんなに頭下げないで」
すみれさんなりに精一杯のお礼をしているつもりなんだろう。でも、ちょっと恥ずかしい。
「とりあえず、アトリエに戻ろ」
「はい」
アトリエに戻ると、テーブルの上には林さんからの紙の束が散らかったままだった。
「どうしてですか？」
「ん？」
「どうして私ためにそこまでしてくれるんですか？」
すみれさんが不思議そうに聞く。
「私ね、昔、お姉ちゃんが家から失踪したの」
「…………」
この話は誰にもしてこなかった。したくなかったから。だけど、なんとなくすみれさんにはしてもいいかと思ってしまった。なぜか分からない。すみれさんは不思議な人だ。
「私がちゃんともっと話しかけておけば、こんなことにならなかったんじゃないかって……未だに後悔してるの」
「…………」
「ごめんね、暗い話しちゃって」
「いえいえ」
「お姉ちゃんが何を考えていたかなんて分からない。でも、なんとなく困ってたんじゃないかなって思うの」
お姉ちゃんの気持ちに何一つ気づいてやれなかった。それが失踪の一番の原因。
「だから困ってる人がいたら助けてあげなきゃって思うの」
「そうだったんですね」
「あ！そうだ！」
私は無理矢理話を変えようとする。
「タトゥーを消す話も聞いてきたよ」
「ええ！？」
私は早見の話をする。どんな人か、どうして出会ったか、こと細やかに話す。
「それで、実際タトゥーを消すとなるといくらくらいですかって聞いたの」
「いくらだったんですか？」
私は早見がやってきたポーズとおんなじことをする。指を二本立て、すみれさんに見せる。
「二十万？」
私と同じ答えだ。思わず笑ってしまう。
「二百万だって」
「ええ！？」
すみれさんは指を折り何かを数えている。どんな計算をしているんだろう。
「でも、友人価格で五十万でもやりますってさ」
「五十万か、やす……くはないか」
すみれさんは分かりやすくがっくり頭を下げる。
「なんでこんなのいれちゃったんだろう」
すみれさんは右腕をさする。なんか傷をえぐってしまった気分になる。
「でもね、一回直接会ってお話ししてみたいって」
「そのハマミさんがですか？」
「早見さんね」
つづく
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【「明日何しようかな」あらすじ】
大阪にあるド田舎な村「百白（ひゃくしろ）村」
学年は全体で三人しかおらず光輔、景子、心菜は腐れ縁の仲だった
二○一○年三月、三人は卒業式前日にタイムカプセルを埋める
卒業式当日
景子の姉である莉子の失踪事件が起こる
事件の混乱で卒業式は中止が決定
心菜が光輔に告白することや、心菜が所属していた暗号部の最後の暗号を解くこと
それらを整理することが出来ずに、光輔、景子、心菜は離れ離れとなってしまう
ニ〇一八年、舞台は東京へ
事件は解決せず、心菜とは光輔、景子ともに音信不通となってしまう
景子は自宅の近くで雨宿りをしたのをきっかけに雑居ビルでアトリエを開いているすみれと出会う
すみれは腕に元カレのタトゥーが入っており、まともな職につくことが出来ないでいた
光輔は会社の帰り道、車窓からたまたまアパートの廊下にいた心菜を見かける
驚いた光輔は電車を飛び降り、心菜を探す
結局、心菜は見つからなかったが、心菜を見つけたアパートを確認することに
すると、アパートの一室にはあの日失踪したはずの莉子がいた
【登場人物】
・福山光輔（ふくやま・こうすけ）
男性。百白中学校出身。頼りがいのあるしっかりもの。
・佐々木景子（ささき・けいこ）
女性。百白中学校出身。さばさばした性格。
・泉心菜（いずみ・ここな）
女性。百白中学校出身。寂しがりやの甘えん坊。
・佐々木莉子（ささき・りこ）
女性。景子の姉。2010年3月に失踪する。
・上杉史也（うえすぎ・ふみや）
男性。百白中学校の先生。通称「タッチ」。
・益川正義（ますかわ・せいぎ）
男性。莉子失踪事件を担当する刑事。
・早見徹（はやみ・とおる）
男性。元天才美容整形外科医。現在はラーメン屋を営む。
・片寄渚（かたよせ・なぎさ）
女性。心菜の味方をする。
・長谷川すみれ（はせがわ・すみれ）
女性。東京の小さなアトリエで絵を描いている。
・羽田部長（はねだ）
男性。光輔の上司。
・松尾（まつお）
男性。光輔の部下。
・林さん（はやし）
女性。「グッバイぐっちー」を運営する。
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ややこしくて申し訳ないのですが、正式には「むか」はひらがなで「ブロ」はカタカナです
#明日何しようかな もつけてもらえると大変喜びます
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